妊娠中の腰痛
妊婦さんには腰痛が多い!
妊婦酸の腰痛は比較的多いのにも関わらず、マイナートラブルと思われがちです。実は妊娠中の50〜70%の方が腰痛で悩んでいるといわれるぐらい多い症状なのです。私も妊婦さんを施術していて、腰痛で悩んでいる方は多いと感じています。
腰痛の原因は色々ありますが、大きく分けて二つあります。一つ目の原因は妊娠でお腹が大きくなるために起きる「体幹の歪み」、二つ目の原因は妊娠中に分泌されるホルモンによる「骨盤の歪み」です。
妊娠中の腰痛はなぜ起きる?
皆さんは、健康で正しい姿勢を支えているのはどこの筋肉だと思いますか?腹筋が体を支えていると思って腹筋のトレーニングを頑張っている方もいらっしゃいますが、実は腹筋が重要ではないのです。お腹から腰の奥についている「インナーマッスル」と「骨盤」が姿勢を支えているのです。
①体幹を支えるインナーマッスルは「横隔膜」、背中にある「多裂筋」、お腹の周りウエストのところにある「腹横筋」、「骨盤底筋群」の四つの筋肉から構成されていて体幹を支えてくれています。
②骨盤は、骨盤の下の部分で「骨盤輪」という綺麗な円を形作っていて、骨盤輪が体重を分散させることで上半身を支えてくれるのです。
理想的な姿勢は、体の重心線の上に骨が綺麗に並んでいている状態です。この姿勢であれば体のストレスを最小限に抑えることが出来て腰痛の出にくい姿勢となります。しかし重心線を外れた位置に関節があったり、重心線から外れた位置で関節を曲げたりすると、ストレスが過度にかかり関節を痛めてしまうことがあります。
妊婦さんは猫背になりやすい
妊婦さんに多いのは「猫背」と「そり腰」です。背中の骨が後ろに曲がってしまい首が前に出てしまいます。さらに骨盤が前傾になるので腰が反ってしまい、お腹がポッコリと前に出てしまいます。この姿勢では腰に負担かかり腰痛の原因になります。首も重心線から外れますので、「肩こり」と「頭痛」の原因にもなるのです。
妊娠中は骨盤も歪んでしまう
骨盤輪は綺麗な円形を作って体重を支えています。骨盤輪には仙腸関節と恥骨結合という2つの関節ど作られています。妊娠するとエストロゲン、プロゲステロン、リラキシンなどの出産に必要なホルモンが分泌されます。リラキシンは、赤ちゃんが産道を通る時に骨盤が締まっていると通れなくなるので、関節をゆるめて赤ちゃんが産道から出やすいようにしてくれるのです。
しかし関節が緩くなる事で骨盤輪が歪みやすくなってしまい、グラグラした骨盤輪を支える為に骨盤の周囲にある筋肉に負担がかかり、腰痛や股関節痛の原因になってしまいます。お腹が大きくなることでお腹の筋肉が伸びてしまうのも原因です。
産後も、出産前後の姿勢の変化と骨盤の不安定な状態で前傾姿勢の育児をしなくてはなりません。赤ちゃんを抱っこすると前傾になるので、腰に負担が掛かり腰痛になってしまいます。
妊娠中は腰痛の予防をしましょう
腰痛の予防策は姿勢を正しくすること。そして骨盤を安定させることが必要となります。
正しい姿勢を保つために、インナーマッスルを適度な運動で鍛えて維持するのが良いでしょう。妊娠中だと動くことに不安を感じて安静にしている人もいますが、適度な運動はとても大切なのです。
適度な運動
毎週約150分間の有酸素運動。1回の有酸素運動は30分以内で軽く汗をかく程度が良いでしょう。運動はウォーキングがおすすめですが、腰が痛いときは腰の負担を減らしてくれる水泳が効果的です。
正常な妊娠状況であれば運動をしても問題ないですが、心配な方は担当医にご相談してください。
専門家の施術も必要
妊娠中は関節が緩んで骨盤がグラグラしているので、骨盤を固定してサポートしてあげても良いでしょう。またマッサージをすると、筋肉の緊張が取れて骨盤が安定し腰痛も緩和されてきます。まずは腰痛が慢性化する前に施術の専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
妊娠中の腰痛の原因は、「体幹の歪み」と「骨盤の歪み」です。
妊娠中にお腹が大きくなる事で姿勢が崩れて体幹の筋肉に大きな負担がかかり、上半身が歪んでしまいます。さらに妊娠中に分泌されるホルモンで関節が緩み骨盤も歪んでしまいまうのです。
腰痛予防は、正しい姿勢と骨盤を安定させることが必要です。予防には適度な運動とマッサージが効果があります。ぜひ専門家に相談してみましょう。