手首の腱鞘炎|毎日の家事や育児、仕事で手首が痛むあなたへ
手首の腱鞘炎|毎日の家事や育児、仕事で手首が痛むあなたへ
手首の腱鞘炎はどのような症状なのか
「腱鞘炎で手首が痛い!」という経験は誰にでもあると思います。
私も治療家ですので、手首に負担のかかる仕事ですのですから経験があります。
手首の腱鞘炎とは、手首や親指を動かすときに「ズキッ」とした痛みが出る症状のことです。特に、スマホの操作やパソコン作業、家事・育児で手を酷使する人に多く見られます。
初期には違和感や軽い痛み程度ですが、放っておくと手首の動きに制限が出てきたり、何もしていなくても強い痛みが出るようになることもあります。
特に「子どもを抱っこしているだけで手首が痛い」「蓋を開ける動作がつらい」というような悩みは、腱鞘炎が原因かもしれません。
手首の腱鞘炎にはどのような種類があるか
手首の腱鞘炎には主に2つのタイプがあります。
①ド・ケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
親指の付け根(手首の親指側)に痛みや腫れが出るタイプです。親指を握った状態で手首を小指側に倒すと強い痛みが出るのが特徴です。スマホの操作やパソコン作業、育児での抱っこなど、親指や手首を頻繁に使う人に多く、特に産後のママに多く見られる症状です。
②手関節屈筋腱の腱鞘炎(手掌側の腱鞘炎)
手首の手のひら側に痛みが出るタイプで、主に手関節を曲げる動作で悪化します。長時間のタイピングや重い物の持ち運びなど、手首を反復して使う作業が原因で起こりやすく、炎症が進むと手首を動かすだけで強い痛みが出ることもあります。
このように手首の腱鞘炎は、痛みの出る部位や動作によりタイプが分かれ、対処法も異なります。早めに専門家の正しい判断とケアを受けることが必要となります。
手首の腱鞘炎はなぜ起こるのか
腱鞘炎の原因は「使いすぎ」だけではありません。実は、姿勢の乱れや体のバランスの崩れが、手首の腱に大きな負担をかけていることが原因です。
① 使いすぎによる腱への負担
パソコン作業やスマホ操作、料理や抱っこなど、手や指を酷使することで腱と腱鞘がこすれ、炎症を起こします。これがいわゆる「使いすぎ」が原因の腱鞘炎です。しかし、同じ作業をしていても痛くなる人とならない人がいます。そこに姿勢や体の使い方の差があるからなのです。
② 猫背・巻き肩による肩の位置異常
猫背になると肩が前に巻き込まれ、肩関節が内旋(内側にねじれる)状態になります。その結果、肘も内向きに入り、手首の自然な角度が崩れ、特定の腱に負担が集中しやすくなります。特に巻き肩の状態では、手首が内側にねじれ、尺骨側(小指側)に痛みが出やすくなります。
③ 反り腰による全身のバランスの崩れ
反り腰になると骨盤が前に傾き、それを支えるために背中や肩の位置が変わります。バランスを取るために猫背となり、肩甲骨が内側に寄ることで、肩や手首の位置が変化し、結果的に手首に余分な負荷がかかります。つまり、骨盤の傾きが手首にまで影響しているのです。
④ 姿勢が悪いと手首に痛みが出る理由(まとめ)
人の体はすべてつながっています。肩や肘の位置が少しずれるだけで、手首の動きや負担が大きく変わります。位置が変わると力が入らなくなってしまい、必要以上に負担をかけてしまいます。つまり「姿勢が悪い=手首に負担が集中する環境が整ってしまう」ということ。腱鞘炎の予防や改善には、手首だけでなく、姿勢や体全体を整えることが重要なのです。
手首の腱鞘炎の治し方・手首と前腕のアプローチ
手首の腱鞘炎がある場合、まず大切なのは「使いすぎを防ぐこと」と「局所のケア」です。痛みがある時は無理に動かさず、アイシングやサポーターで負担を減らすことが大切です。
痛みが落ち着いてきたら、前腕のストレッチやマッサージを行うと効果的です。前腕の筋肉(特に親指や小指を動かす筋肉)が固くなると、手首の腱に負担がかかりやすくなります。その為、整体や電気治療などで筋肉を緩めることが必要です。
また、手首に負担をかけるような日常動作(例:重いものの持ち方、スマホの持ち方)に注意が必要です。
手首の腱鞘炎の治し方・根本治療として姿勢矯正をする全身アプローチ
一時的な痛みの緩和だけでなく、「再発しない体」を作るには根本的な姿勢の改善が必要です。猫背や反り腰など、全身のバランスが崩れていると、いくら手首だけを治療しても、また痛みが戻ってきてしまいます。
整骨院で骨盤・背骨・肩甲骨・肩関節の位置を整える姿勢矯正を行うことで、手首への負担が軽減できます。肩の内巻きや骨盤の傾きを正すと、自然と腕の使い方も改善されば、手首の腱にかかるストレスが解消されます。
「姿勢が整う=手首が楽になる」このアプローチこそが、本当の意味での根本治療と言えるのです。
栄養が腱鞘炎を改善する理由と関係
腱鞘炎の炎症を抑えるには、栄養のサポートも重要です。特に以下の栄養素がカギとなります。
- ビタミンB6・B12:神経の修復を助ける
- ビタミンC・E:抗酸化作用があり、炎症を抑える
- コラーゲン・たんぱく質:腱や筋肉の修復に必要
- オメガ3脂肪酸:炎症を抑える働きがある
特に、育児中や忙しい毎日で栄養が偏りがちな人は、サプリメントやプロテインなどでの補助も有効です。腱鞘炎は外側の問題のように見えて、実は内側(細胞レベル)からのサポートがとても大切です。
睡眠が腱鞘炎を改善する理由と関係
実は、腱の修復は主に「睡眠中」に行われるということをご存じでしょうか?
体の組織を回復させる成長ホルモンや修復ホルモン(メラトニン、コルチゾール)は、深い睡眠中に分泌されます。特に腱や筋肉の微細な損傷を修復するためには、質の高い睡眠が必要です。
また、睡眠不足が続くと自律神経が乱れ、炎症を促進するホルモン(IL-6、TNF-α)が増えてしまい、痛みが長引く要因になります。
腱鞘炎の改善には、「治療+栄養+睡眠」のアプローチがとても効果的なのです。
まとめ
手首の腱鞘炎は、単なる「使いすぎ」ではなく、姿勢・肩の位置・骨盤の傾きなど全身のバランスが深く関係しています。痛いところだけをマッサージするよりも、根本的に体の使い方や姿勢を見直すことで、再発しない体づくりが可能になります。
また、栄養や睡眠も大切です。体の中から炎症を抑え、手首に優しい生活スタイルを目指しましょう。
「治す」だけでなく、「再発させない」体づくり。それが本当の健康への第一歩です。